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【インタビュー】初ランウェイでニナ リッチのショーモデルを務めたHANAKAとは?
FASHIONSNAP.COM
2020年1月

HANAKAInstagram:@iam_hanaka_H177cm/B79cm/W59cm/H87cm/S25cm(DonnaModels所属)・モデルになりたいと思ったきっかけは何ですか?ーずっと夢を持っていなかったんです。周りの子たちが進路を決めている中、「私、何やりたいんだろう?」って、長い間悩んでいました。勉強はすごく苦手だったので、目的もなく大学に進学するのは両親に対しても失礼だなと思っていて。・モデルという仕事が思い浮かんだのはなぜですか?ーファッションが好きで、地元の新潟でよく行く服屋さんがあったんです。そこの店員さんや、お店で知り合ったデザイナーさんに「モデルやってみたら?」と言われたのがきっかけでした。身長が高いことがずっとコンプレックスだったんですけど、モデルって身長の高さを良い方向に考えられる職業だなって思ったし、色んな服も着られるし(笑)、目指してみようかなと。・今の事務所を選んだのは?ーその頃、友達の影響もあって、萬波ユカさんのことがめちゃくちゃ好きだったんです。携帯のロック画面にするくらい。それで、「モデルを目指すんだったら、絶対に萬波さんと同じ事務所に入りたい!」と思い、今の事務所に履歴書を送りました。お返事を頂いて、面接に行ったのですが、お会いした次の日に「もうちょっと身体を絞ってからまた来てください」ってメールをいただいたんです。「ああ...」ってちょっと落ち込んじゃったけど、母に「せっかくもう一回チャンスをもらえたんだから、絶対に無駄にしちゃだめ!」と言われ、頑張ることにしました。・進路も決まっていなかったし、お母さんも心配してくれていたんでしょうね。ーはい。そこから一念発起して、死ぬ気でダイエットしました。ジムに通って食事制限して、一ヵ月で4~5キロ絞り、また面接にお伺いしました。事務所の方もきちんと努力して身体を絞ってきたことで「頑張ったね」と思ってくださったらしく、晴れて今の事務所に所属することになりました。・その一ヵ月はメンタル的にもきつかったですか?ーかなりきつかったですね。思うように体重が落ちなかったし、ご飯大好きだから食べられないストレスも溜まっちゃって。でも、今の事務所以外だったらモデルはやらないという気持ちだったので、とにかく頑張りました。・東京はどう?出てきてどれくらい経ちましたか?ーちょうど半年です。やっと一人暮らしに慣れてきました。最近自炊も毎日やるようにしているんですけど、実家では料理も洗濯も洗い物も何にもやっていなかったので、お母さんってすごいなって思っています(笑)電車の乗りまちがいとかよくやっちゃうんですけど、渋谷のスクランブル交差点を前よりうまく渡れるようになりました(笑)・今、楽しい?自分の中で気持ちの変化はありましたか?ー楽しいですね。家に帰ると一人だからちょっと寂しくなっちゃう時もあるんですけど、その分現場が楽しいです。お盆前くらいかな?「新潟に帰りたいなぁ」ってちょっとホームシックだったんですけど、今は仕事も充実していて満たされている感じがします。前よりメンタルも強くなりましたね。カメラの前でのポージングも、最初は恥ずかしいっていう気持ちがやっぱりあって。今は振り切ってやれるようになったかな。自分を捨てるというか、「これは私じゃない、別の人だ」と思いながら動くと勢いよくできるようになってきました。・ランウェイデビューがパリコレなんですよね。最初にランウェイが決まったのは?ーはい、初ランウェイがパリコレでした。実はエクスクルーシブで呼んでいただいたブランドさんのショーが決まらなくて、エージェンシーを回り始めたのがファッションウィークが始まる2日前!バタバタで、さらに前半はまったく仕事がなくて、めちゃくちゃ焦りました。移動中にお母さんに電話して「もう無理...」って泣いちゃったりして。「あなたなら大丈夫よ!」って励ましてもらって、めげずにまたたくさん回って...。ファッションウィークも中盤になって、一番最初に決まったのは台湾のブランドで、ランウェイじゃなくてプレゼンテーションでした。その後、初ランウェイが決まったのがニナリッチです。・いきなり大きいステージ!デザイナーが変わって、またブランドがさらに注目されているタイミングでしたね。ーニナリッチのランウェイを歩かせてもらえるなら、絶対!あの帽子かぶりたいなって思っていたので、衣装に着替える時、「あ、やったー!」って思いました(笑)ピンクのかわいい帽子をかぶらせていただきました。・初ランウェイがパリコレって聞くととんとん拍子なのかなって思いましたが、決まるまでが大変だったんですね。ーそうなんです。エクスクルーシブで決まらなかったことのショックに始まり、パリに行ってからの前半は、19年間生きてきた中で一番辛かった。デモと重なっていたのでメトロが封鎖されちゃって、歩いてオーディションも回りました。一時間半くらいかけて歩いていったキャスティングで、会って10秒で帰された時はめっちゃ落ちました...。土砂降りだし寒いし...。辛かったなぁ(笑)でも、休んでいる暇もなくて、スーパーでスナックバーを買って、かじりながら歩き回っていましたね。そのおかげか、かなり歩いて移動したのでパリの街は結構、覚えました。ずっと一人での移動で寂しかったけど、たまに夜、事務所の先輩たちと会ってお話しをさせてもらったり。先輩達が仕事とは別の話をしてくれたので、良い気分転換にもなり、気持ちが楽になりました。・皆さんもなかなか仕事が決まらない苦労を知っているから、気持ちがわかるんでしょうね。先輩たちからアドバイスもあったんですか?ーニナリッチのキャスティングに行く前日に、先輩のAkitoさんから、自分自身の気の持ちようについてアドバイスをいただいたんです。オーディションでは「この服、絶対自分にしか似合わない!自分、超似合ってる!最高!」みたいな気持ちで歩いてみてって言われて。次の日、ニナリッチに行って衣装を着させていただいて、「めっちゃかわいい!これ、絶対に私が着たい!」って強く思ったんです。Akitoさんの言葉を思い出しながら、「私が着ないと誰が着るの!?」って自分に言い聞かせて、自信を持ってウォーキングしてみました。そうしたらキャスティングの方が「Amazing!Beautiful!」ってたくさん褒めてくださって。「これか!」って、一つ分かった気がしたんです。そこからですね、自分の中で少し変わった気がします。・初ランウェイが決まった瞬間の気持ちは?ーもう、めちゃくちゃ嬉しかったです!夜に事務所の先輩方とカフェにいた時に、パリの事務所からメールが来たんです。「やりました!」って言って、みんなでハグ(笑)そうしたら別の先輩や、日本のマネージャーさんからテレビ電話がかかってきて、「おめでとう!」「ありがとうございます~(涙)」って皆さんで喜びを分かち合っていただきました。・ランウェイが決まってから実際に歩くのってすぐなんですよね。ー決まったのが前日の夜9時で、次の日は朝早くから現場入りという感じでした。一度、歩くのが決まって「Seeyoutomorrow!」って言われたのに、何も連絡が来なかったっていう苦い経験もしたのでドキドキしましたね。・どれくらいの期間パリに行っていたんですか?ー合計で三週間半くらいですね。今までにない経験ばかりで、色んな感情が溢れた三週間半でした。でも実はランウェイが決まって一番初めに思ったのは、「ああ、これで日本に帰れる!」でした。一つもランウェイを歩かずに帰るなんてありえない!と思っていたので、心底ほっとしました。・一人で三週間、海外で暮らすって大変ですよね。ー結構きつかったです。英語が全然喋れなくて苦戦したのもあったので、もっと英語の勉強を頑張らなきゃなと思いました。英語が話せたら他のモデルさんやキャスティングの方ともコミュニケーションが取れて、もっと仕事の幅も広がったかもしれないなと。今後の課題ですね。・パリから戻ってきてから、東京での仕事に対しても何か意識は変わりましたか?ーまず、ウォーキングに自信が持てるようになりました。パリに行く前の自分のウォーキングムービーと、東京に戻ってきてからのものを見比べても、全然違うなって感じます。正直、前回のパリは自分では全然満足していない結果なので、もっと結果を残せていたら自分自身ももっと変われていたかもしれない、という気持ちもあります。悔しい気持ちがまだまだ残っているので、次こそは納得のいく結果を出したいなと思っています。・パリの街はどうでした?ーとにかく街を歩いている人が、自分に似合う服を着ているなって感じました。パンツとシューズのバランスとか、丈感も上手。盗撮したいくらい(笑)、みんなおしゃれだなって。街の感じも、百年前くらいと変わってないわけじゃないですか。どこを撮っても画になるし、雰囲気たっぷりでした。扉が重いのは難しくて、何度も「開かない~!」ってなりましたけど(笑)・ファッションは昔から好きだったんですか?ーそうですね。高校生の時に地元の服屋さんで仲良くなった友達がすごくおしゃれな子だったので、その子の影響が大きいかな。その子が元々、萬波さんのことが好きで、私も「何、このカッコいいモデルさん!」って好きになったんです。同い年の男の子なんですけど、レディースを結構着ていて、私は逆にメンズの服が好きで。ファッションやカルチャーのことも色々教えてもらいました。今は彼も文化服装学院に通って一生懸命頑張っています。・ファッションが好きだと現場も相当楽しいでしょうね。ー自分じゃなかなか買えないようなハイブランドのお洋服が着られたり、これまでそこまで興味がなかったけど、実際に着させてもらって「めっちゃかわいい!これ好き!」って思うようになったブランドも多いです。あと、現場で会う方はおしゃれな人が多くて見ていて楽しいですし、勉強になります。今、現場が楽しくて仕方ないですね。・パリから戻って、日本でのお仕事はどう?ーありがたいことに結構増えました。インスタもチェックしてくださっている方もいて、嬉しいなって。撮影もとっても楽しいです。「私、これがやりたかったんだな」って思えるようになりました。初めて自分が載った雑誌を見た時も、書店で泣いちゃったんですよね(笑)・最初の感動って大事ですよね。東京で好きな街もできましたか?ー人が多いのが苦手なんですが、今住んでいる所がちょっと新潟(地元)感があって好きですね。自宅のある駅に着くと、歩くスピードもいつもよりゆっくりになる感じ(笑)・普段、服はどこで買っているんですか?ー最近は三茶や三宿の古着屋さんや、表参道のお店が多いです。でもまだそこまでファッションにお金をかけられないので、買い物も慎重です。お金を使うことでストレス発散になるっていう人もいるじゃないですか?わからなくもないんですけど、私はそれよりもお金が貯まっていく喜びの方が大きい(笑)から、今はあんまり思い切り良くは使えない。なので、お店に行っても買わずに出ることも多いかな。欲しくはなっちゃうんですけど、「もうちょっと待ったらもっといいのが買えるかもしれない!」って自分に言い聞かせています(笑)・休日は何をして過ごすことが多いですか?ー仕事のある日は帰宅しても疲れて何もできないので、休みの日にばーっと掃除したり洗濯したりしています。あとはネットフリックス!最近お家にこたつを置いたので、ゆっくり入りながらネットフリックスを見ているのが幸せです。丸一日休みだと家でゆっくりして、半日休みだと友達と遊ぶかな。・日本でのオーディションは?ー日本だと週に2、3個くらいですね。良くも悪くも、海外にいる時よりも気が緩んでしまっているかもしれません。オーディションにまわらなくても決めていただけるお仕事があったりするから、まあいいかってなっちゃうときもある。ダメですね!パリでの経験を忘れず、怠けちゃいけないなって思っています。・自分の中でイメージするモデル像はありますか?ー事務所の先輩方が偉大すぎるので、身近で凄さを体感させてもらえるのはとてもいい環境だなと感謝しています。世界を飛び回ってお仕事しているCHIHARUさんを見ていると、あんな風になりたいなって思います。いずれは海外に住んでみたいですし、海外でのお仕事をもっと増やしていきたいなと思っています。・自分の性格も含め、今の"HANAKA"は客観的に見てどんな感じですか?ーまだまだ弱っちい存在ですね。悔しいって気持ちが募ると泣いちゃうことも多くて。トレーニングも、週四でジムに行って頑張っているつもりなんですけど、あんまり身体に結果を感じられなくて。それを口に出すと「じゃあ、毎日ジムに行けばいいんじゃない?」って言われちゃったりして、「そうだよなー」って思いながら、「ううううー」って悔しくなっちゃったり(笑)何か言われたらそれを全部受け止めちゃうんです。うまくかわしたり、上手に処理ができなくて、人からの全部の感情を受け止めちゃう。そこがまだまだだなと思いますね。根気もないし、メンタルコントロールが今後必要ですね!・次のシーズンもパリには挑戦予定ですか?ーもっと色々と学んで生まれ変わった自分を世界に見せようと、事務所と話しているところです。次のパリコレに参戦するかはまだ未定です。それだけ世界の壁は高いのですが、目標を高く持って成長した自分でまたパリコレに再挑戦したいです。・ここからまたチャレンジですね。来年で20歳。目標をお願いします!ーそうですね。さらに色々と挑戦していきたいと思っています。目標としては、日本の同世代のモデルさんの中でも一番を取るつもりで、一線を歩いていきたい。私たちくらいの世代がもうちょっと頑張らないといけないと思うので、同世代を引っ張っていくくらいの気持ちでいきたいなと。ちょっと目標が大きいかも(笑)ですが、負けずに強く、頑張ります!PHOTO_EnaKitamura/©RETOY'S■DonnaModelshttp://www.donnamodels.jp/
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