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米国では食料品を生涯無料で提供するキャンペーンも、市場で存在感増すストアアプリを考える

FASHIONSNAP.COM

2020年1月

■電話やカメラ、手帳、ゲーム、お財布など様々な機能を搭載するようになったスマートフォンは、日常生活にはなくてなならない生活インフラだ。

ミレニアルなどの若い世代はスマートフォン・アプリを使いこなし、日常行動を便利にコントロールしている。中には起床から就寝まで片時も手放せないほどスマートフォンに依存した生活を送っている人もいるほどだ。

スマートフォンは買い物でも活躍している。アドビ・アナリティクスのデータによると、昨年の感謝祭日のオンライン売上でスマートフォン経由の売上は前年から14.5%の増加となった。ブラックフライデーではスマートフォンからの売上は29億ドルとなり、オンライン売上全体の39%を占めた。

別の調査でもブラックフライデーでのスマートフォン利用の増加は指摘されている。セールスフォースの分析ではブラックフライデーのオンライン売上高は72億ドル(約7,800億円)だった。スマートフォンなどモバイル経由でのオンライン・トラフィックはオンライン全体の74%でオンライン注文は60%となっているのだ。

NPDでの調査でもスマートフォンを利用して買い物するとした人は25%となっており、2年前の19%から6ポイント増加している。

日常的なショッピングでもスマートフォンを使った買い物は増加しているのだ。大手チェーンストアも顧客にシームレスで便利な買い物を提供するためストアアプリの開発に莫大な投資を行っている。

ストアアプリなくしてアメリカのチェーンストアを語れないと言えるのだ。

食品スーパーとて同じことが言える。スーパーマーケットチェーンは顧客にストアアプリを積極的に利用してもらいたいと思っているのだ。

 テキサスとメキシコに約400店を展開するスーパーマーケットチェーンのHEBは2月2日行われるスーパーボウルで昨年末に刷新したストアアプリの販促を行う。

優勝賞品は「一生分の食料品(lifetimeofgroceries)」となるストアアプリ・プロモーションでは「マイHEB(MyH-E-B)」アプリをダウンロードして行うもの。

スーパーボウルで放映されるHEBのテレビコマーシャル中フューチャーしたHEB商品を10個選択してアプリ経由で送るのだ。

一人1回のみの参加で正解者は抽選で1名選ばれる。マイHEBアプリを介して告知される優勝者は、HEBの食品がライフタイムで無料進呈されることになる。

マイHEBアプリは急増するカーブサイド・ピックアップや宅配サービスのネットスーパーに対応し、利便性を高めている。

新アプリの特徴はネットスーパーがアプリ内でチェックアウトできるところだ。従来のアプリではネットスーパーを選択するとウェブブラウザが起動しHEBのホームページにアクセス後、注文するようになっていた。

ネットスーパーの利用が可能になったマイHEBにより注文履歴からの再注文が簡単になるのだ。パーソナライゼーションによりチェックアウト時のクーポン利用も利用者の注文に対応して提案できるようにも改良が加えられている。

インストアのアプリ利用にも機能が強化されており、ストア内商品検索も可能になり広い店内でも欲しい商品が見つけやすく工夫されている。

マイHEBはアップルやセールスフォースと提携して開発されており、スーパーマーケットのアプリとしては注目されているのだ。

 一生涯分の食品を無料にするキャンペーンから、スーパーマーケットでもいかにストアアプリが重要であるかがわかるだろう。アプリなくしてアメリカの食品スーパーは語れないと言える証左だ。

トップ画像:食品スーパーのHEBは「マイHEB(MyH-E-B)」アプリの販促を行う。一生涯分の食品を無料にする、という大盤振る舞いからストアアプリがいかに重要であるかがわかるだろう。

同キャンペーンにHEBは「デスパレートな妻たち」に出演していた女優のエヴァ・ロンゴリア氏を起用している。地方のスーパーマーケットがテレビコマーシャル等にハリウッド女優を使うのは極めて珍しい。HEBはストアアプリに自信があるということだ。

2020年1月4日-【米国流通視察】、やってはいけない5つのNGとは?ワークショップスタイルが主流だ!

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。生涯分の食品が無料となるストアアプリ・プロモーションで、家計を預かる主婦の目が変わります。ママの真剣さから、幼い子から高齢者まで家族総出で参加することになるでしょう。我々が注目スべき点はアメリカ小売業にとってのストアアプリの重要性です。ストアアプリは店にとって最大のコミュニケーションツールだからです。若い人を中心にスマートフォンは生活インフラになっています。日常行動の中心はスマホにあります。日本の流通ビジネスマンは全くこれがわかっていません。彼らがストアアプリを理解しない根拠には、アメリカに視察に来ても店の売り場しか見ないことが挙げられます。一方、当社のIT&オムニチャネル・ワークショップではストアアプリで買い物実演するので、大手チェーンの戦略が腹に落ちるのです。ストアアプリがテレビCMやチラシ、DM、ホームページ以上に店と顧客を結ぶコミュニケーションで役立っていることに合点がいくのです。 できる食品スーパーはストアアプリを介して顧客に語るのです。言い方を変えればストアアプリとは店の売り場以上の存在になるのです。

後藤文俊


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