HERMÈS

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編集長は先週何した? NYで1日限りの“エルメス大学” アップルの立役者ジョニー・アイヴも登場

WWD JAPAN

2020年2月

 皆さん、こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向千鶴です。最近はウイルスそれ自体と同じくらい、周囲とのコミュニケーションに気を使いますね。文化や受け取っている情報の内容や量が違う海外では一層のことです。マスクをするのかしないのか、握手やハグはアリかナシかなど逐一相手の様子を伺いながら距離感を手探りしてしまう毎日。全員がストレスにさらされている今こそポジティブな姿勢と思いやりを忘れずに過ごしたいところです。

 エルメス(HERMES)は年に1度、“テーマ発表会”を開きます。これはコレクションとは別で、文字通りその年のテーマを世界中のメディアやスタッフと共有するイベントです。スポーツがテーマの年は運動会が開かれ、自然がテーマの年は山の中で過ごしたりと体験型のイベントで、受け身ではなく各々に考える時間が設けられるのが特徴です。

 今年のテーマは“INOVATION IN THE MAKING(モノづくりにおける革新)”で、ニューヨークで開かれました。まるで大学!?な環境で、授業を受けるのですが先生が豪華!フランスの哲学者フランソワ・ジュリアン(Francois Jullien)、NASAのチーフ宇宙飛行士ペギー・ウィットソン(Peggy Whitson)、アメリカ自然史博物館のキューレターでもある古人類学のイアン・タッタソール(Ian Tattersall)、パフォーマーのオクイ・オクポカシリ(Okwui Okpokwasili)、そしてジョニー・アイヴ(Jony Ive)。彼は昨年までアップルの最高デザイン責任者でiMac、MacBook、iPhoneなど主要製品を手掛けてきました。

 どの授業も刺さる言葉の連続で刺激的。正直、特に哲学はかなり難解だったけど、後から反芻しているとジワジワ心に響いてきます。1日の様子を写真に撮ってきたのでご覧ください。


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集合は朝7時。早い!

用意されたニット帽をかぶって準備万端

スクールバスでホテルを出発。まだうす暗いです

地元の人や学生、観光客と一緒にフェリーへ

おそろいのニット帽で修学旅行みたい

フェリーの甲板から振り返るとマンハッタンが見えます

10分ほどでガバナーズ アイランドに到着

ここです

今日はここを借り切ります

楽団が迎えてくれました

1日限りの「エルメス」大学が開校です!

スタッフのスエットがカワイイ

まずは朝食

ジンジャーミントジュースとフルーツ。学食みたい

ベルが鳴って教室へ移動

まさに教室の机

机にはノートと鉛筆が用意されていました

続々と集まってくる学生たち(大人です)

今日のプログラム

開校のあいさつをする「エルメス」のピエール・アレクシス・デュマ=アーティスティックディレクター

哲学の時間に必死に取ったノート

講師陣は撮影NGなのでシルエットだけ

休憩です!

本日のスケジュールが描かれています

椅子にいらっしゃる方も先生。学生が休憩から戻る前にパフォーマンスが始まりました

ランチは別の部屋へ

ヘルシーで美味しいです

日本から来た学友の皆さん。左からエルメスの亀井さん、「Tマガジン」内田編集長、「カーサ ブルータス」西尾編集長

自由の女神を見ながら帰りました

 夜は2022年にマディソン・アベニューにオープン予定で現在リノベーション中の建物でパーティーが開かれました。今回の裏テーマが「手を使う」で、実際に自分の手を使って遊ぶ仕掛けがたくさん。そして、あちらこちらで聞いたのが「Heureka(エウレカ)」という言葉です。ギリシャ語に由来する感嘆詞で何かを発見・発明したことを喜ぶときに使われるそう。知恵を身につけ、手を動かした先に「エウレカ!」と叫びたくなるイノベーションが待っているということかな!?今年中に一回は使ってみたいです。エウレカ!動画はパイナップルなどを叩いて曲を奏でるライブパフォーマンスです。不思議。



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「エルメス」の食事はいつもヘルシーです

ゲームコーナー。夜も頭脳が試されます(笑)

ひらめいちゃうフォトスペース

アップルウォッチもジョニー・アイヴの仕事です

ウィットの効いた案内板

俳優の大野拓朗さんを発見!NYで猛勉強中だそう(この写真からだと説得力ないですが彼は至極真面目です)

あちらこちらに馬が飾られています

スタッフは御者ルック

パイナップルを叩いて演奏中。なぜ音がでるの!?

まだまだ食べちゃいます

キーワードは「Heureka」

突然現れるスカーフを使ったパフォーマー

 ニューヨーク最終日はアート巡りへ繰り出しました。同行している方が「カーサ ブルータス(CASA BRUTUS)」の現編集長と元編集長、そしてNY事情に詳しい「Tマガジン(T MAGAZINE)」編集長というぜいたくな環境で、移動中の会話がおもしろすぎました。昨年増床リニューアルしたMoMAは今後6カ月ごとに展示方法を変えるそう。10万点以上の所蔵作品を時系列に並べるだけではなく、時代を超えて関係性を伝えるなど、より編集がなされているから雑誌のページをめくるような面白さがあります。


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チェルシーのペイス・ギャラリーへ。図書館兼書庫。「何冊あるの?」と野暮な質問をして「わからない」と返事をもらう

自宅をリノベーション中なので壁紙や床などがやたらと気になります

ペイスで開催中の「ルーカス・サマラス」展。突き抜けた自己愛はアートになるのだと知ります

ペイスの屋上からNYの街を眺めて凍える

MoMAへ。初めて本物を見ました!“ただキャンバスにカッターで切り込みを入れただけ”のルーチョ・フォンタナ。「感無量」と思ってしまう自分が笑えるくらい本当に“ただ切っただけ”

こんなモンドリアンがあるのですね。NYの街みたい

オノ・ヨーコの作品「THINK PEACE」

「ACT PEACE」からの「SPREAD PEACE」

最後は「IMAGINE PEACE」。御意

各国の言葉で「PEACE IS POWER」

階下のアートを見ていると人の輪さえアートに見えてきます

人種差別を扱った作品。多様性は今のMoMAの大きなテーマです

同行者が椅子の達人ばかりだからどんどん目が肥えて困ります

音響ブース。「その場限りのパフォーマンスアート」が大きな潮流だそう

床も気になって仕方なし。下が従来の床(幅狭)。上が増築後の床(幅広)。リフォームのためにさんざんリサーチした結果「フローリングは幅広の方が現代的」という仮説にたどり着いたところなので検証できて感無量

ピンクの壁にフリーダ・カーロ

視界に一気に入る現代アート群。手前は草間彌生

今日はバレンタインデーでした

記憶に刻まれたエチオピアのアイーダ・ムルネの作品。リニューアル後、黒人アーティストの作品がぐっと増えています

最後にもう一度、オノ・ヨーコさんからのメッセージを受け取りに座りに来ました。近くで見ると→

YES

 帰国日はJFK空港に向かう途中に昨年オープンした「TWAホテル」へ立ち寄りました。かつてフライトセンターとして使われていた建物をリノベーションしたもので、ロビー部分にカフェやお土産ショップが入り観光スポットになっています。1962年代のアメリカと言えば、ケネディ大統領が活躍しアポロ宇宙計画に沸いていた夢の時代。ジェット機時代の到来を象徴する建物には当時の夢が詰まっていてめちゃくちゃフォトジェニックです。


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ホテルの客室をちらり

当時のインテリアを再現したコーナー

「007」もポップです

トンネル風通路で盛り上がる内田さん

自分、小っちゃ

ロビーは当時のまま

なんだここは?

「ハーマンミラー」の部屋じゃないですか!残念ながらクローズしていました

かぶりつく

ノリが最高!な案内係の女性

トランス・ワールド航空の歴代の制服コーナー

ヴァレンティノ・ガラバーニがデザインしていた時代が一番おしゃれ!

青空の下でしばし休憩

現代に戻って、JFK空港の出国ゲートへ。誰もマスクをしていません

 帰国後、最新号「フェムテック」特集を手に取り確認しました。「性に寄り添う“フェムテック”は新たなビジネスを生むのか?」をテーマにした新しい切り口をぜひ!手に取ってご覧ください。今日のおやつはNYコレクション出張組がくれた自由の女神チョコレートです。ちなみに私のお土産はドラッグストアで購入した除菌アルコールです……


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